マウントゴックス事件とは、外部からのハッキングにより大量のビットコインが流出した事件のことです。
この事件は「ビットコインの危険性ではなく、マウントゴックス社の管理体制の脆弱さ」に起因するものです。
マウントゴックス事件はビットコインの危険性とは直接関係のないものの、この事件から「ビットコインの危険性やリスク」を読み解くことができます。こうしたリスクや危険性を知ることは大切です。
そこで、この記事では詳しく紹介していきます。
マウントゴックス事件とは
マウントゴックス事件とは、マウントゴックス社のシステムがハッキングされ、ビットコインが大量に盗まれた事件のことです。結果的にマウントゴックス社は破産し、盗まれたビットコインの行方は未だに分かっておりません。マウントゴックス事件に関しての詳細は下記の記事で紹介しています。
マウントゴックス事件から見るビットコインの危険性・リスクとは
マウントゴックス事件は「マウントゴックス社の企業コンプライアンスとセキュリティ対策に問題があった事」が大きな原因です。
つまり直接的にビットコインとは関係がないというわけなのですが、事件を紐解くことで「ビットコインの危険性・リスク」も読み解くことができるわけです。
具体的には次の3点と読み解く事ができます。
・暗号資産取引業の信用リスク
・暗号資産取引業のセキュリティリスク
・暗号資産取引所の透明性のリスク
それでは詳しく紹介していきます。
暗号資産交換業の信用リスク
暗号資産交換業は、債務状況や人員、理念に関わらず、技術があれば誰でも開業できるという状態でした。
極端な話、多くの借金を抱える人や、法令遵守意識の低い人でも開業できるという事になります。自分の大切な資産をこうした人に預けることに不安を感じる人もいるのではないでしょうか。
こうした状況を踏まえ、日本では、暗号資産交換業を開業する場合の財務規制が作られました。具体的には、資本金の額が1000万円以上であり、純資産額がマイナスになっていないこととなっています。
加えて、個人情報の照会もあります。こうした規制を行うことで、今では、簡単には暗号資産の取り扱い事業に参入できないような仕組みが作られました。
暗号資産交換業のセキュリティリスク
暗号資産交換業では、取扱業者がハッキングされてしまうと顧客の暗号資産もハッキングされてしまうというリスクが潜んでいました。
実際、マウントゴックス事件では、ビットコインそのもののセキュリティは万全だったものの、マウントゴックス社のセキュリティが脆弱だったため、多くのビットコインが盗まれてしまいました。
こうした状況を踏まえ、暗号資産取扱業者には、顧客と自社の暗号資産を分けて管理する分別管理という方式が義務付けられました。もし、顧客資産と自社資産を混同して取り扱った場合、ハッキングによる流出に加え、顧客の資産を自社の資金に利用するといったリスクが伴います。
こうしたリスクをなくすために、今では、分別管理の義務化という仕組みが運用されています。
暗号資産交換所の透明性のリスク
マウントゴックス事件では、マウントゴックス社による民事再生申立ての中で初めて明るみになった事実が多く存在し、多くの顧客が困る事態を招きました。こうした状況を踏まえ、取引業者には高い公平性や透明性が求められることとなりました。
そこで、取引や管理を行う業者には「登録」が義務付けられました。事業の登録が取り消されないよう、取引業者には高い公平性や透明性を担保する事が求められます。
加えて、登録した暗号資産交換業者は、公認会計士または監査法人による外部審査を受けることが義務付けられました。こうした規制を行うことで、不正な会計処理ができないような仕組みも作られました。
今では、外部審査や登録制度により取引による生じるリスクを低減する取り組みが運用されています。
マウントゴックス事件がビットコインにもたらしたものとは
マウントゴックス事件の当初、マウントゴックス社は「ビットコインに脆弱性があった」と発表したため、ビットコインの価格は暴落しました。しかし、捜査が進むにつれ、マウントゴックス社の管理体制の問題であることが明るみになり、ビットコインは再び元の価格に戻すこととなりました。
その後、取引所のリスクが世間に共有されることとなり、各国当局による法的整備や各取引所によるセキュリティ対策が急速に進み、暗号資産の安全性は一気に改善されました。
こうした取り組みの結果、投資家からその安全性を許容されたビットコインの価格は、事件後も高騰を続けるという皮肉な結果となりました。
まとめ
この記事では、マウントゴックス事件から読み解くビットコインの危険性やリスクについて分かりやすく紹介しました。
ぜひご参考にしていただき、ビットコインの本質を正しく理解する一助にしていただければ幸いです。
また、下記の記事では、コインチェック事件についても解説していますので、こちらもご参照いただければ幸いです。